エレベーターの扉の隙間から見える一階の踊場に、
俺はきっと人生の本質も内実も置き去りにしてきているにちがいない。
とりあえず鉄鋼に張られた板の上に我が身を横たえ、逆流する一時の悦楽を燕下する。
秋だからか、夜力が勢力を増す中で、便器に向かって消化不良のニンニクを吐く。
嗚呼、ウイスキーが欲しい。まんまウイスキーが必要だ。
なぜ俺にウイスキーを呑ませぬか。
あとは親子丼をば気の利いた出汁の味噌汁添えて喰わせぬか。
膨らみ上がった膀胱と焼ける食道と赤裸々なまでの欲望を司る脳内中枢が、
相対するイデオロギーを背負って立つ国家のプレーン同士よろしく葛藤しあう。
大阪の生野の今は静寂であるし、きっと天満も京橋も。場末で俺が騒がないかぎり。
俺は逃げない。
物理的健康的に不可なる以外。そして死ぬ。何も残さず。
俺が死んだら200万円入るように手配を進めて、死亡は誰にも確認されず、よだれを飲んで、夢に溺れ、現を抜かし、恥さらし、一人の時はいつでも泣こう。そして嘔吐が時を告げるのをまち、爪を切ろう。
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